HOME » 英検3級合格完全ガイド【前編】文法、長文対策方法とは?
実用英語技能検定(以下英検)3級は、一般的には中学卒業程度の難易度と言われています。では、小学生で合格した私の教え子たちは中学生レベルの英語の力があるのか、というと少し首を傾げてしまいます。
あくまで、学校で求められる知識や能力と、英検で必要な知識や能力は似ていますが、少し違うという点も先に認識しておかなければなりません。
この英検独自の形式や問題傾向にさえ慣れ、必要な知識をしっかりとおさえておけば小学生での合格も決して難しいことではありません。中学、高校生であってもそれは同じことです。
英検は2017年に大きく問題改定され、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能をより求められるようになりました。
具体的に言うと、3級、準2級に英作文問題が追加されたのです。(2016年には2級に作文が追加され、準1級の作文も大きく傾向が変わりました。)
3級を目指す受験者の多くは、4, 5級と受かってきたことでしょう。ここまでスムーズに合格してきた受験者の多くは、作文(ライティング)で足踏みをすることが非常に多いです。
また、問題数は語彙などのリーディング問題30、リスニング問題30、ライティング1問の61問です。試験時間は75分。
合格ラインは65%と公表されていますが、英検協会は具体的な採点内訳を公表していません。
ライティング問題がどの程度評価されるかは不透明なところもありますが、他のところで40点を取ることをまず目標として持ちましょう。
3級合格に必要な単語数は、書籍などによっても若干の数字のバラつきはありますが、2000語程度と言われています。
多いなと感じるかもしれませんが、4級まで必要な語数は1000語強と言われているので、実質新たに覚える必要があるのは半分ほどです。
ただ機械的に英単語を覚えるのではなく、発音も合わせて正しく覚えましょう。カタカナ発音で覚えていると、リスニングで大きなハンデを背負ってしまいます。
動詞であれば、過去形・過去分詞形の不規則変化も必ず押さえましょう。4級で過去形は登場しますが、まだ自信がない場合は必ず復習が必要です。
英検3級頻出英単語、のような書籍やアプリも多く世に出回っています。別に否定する気はありませんが、過去問を解いて、わからない英単語を徹底的に復習する、この繰り返しでも良いかと思います。
数年分も解けば気づくかと思いますが、毎年のようによく出てくる単語やフレーズが存在し、” break”,” enough”, “hold” などが挙げられます。
英検に合格するためには、過去問を解くことが必要不可欠です。
5級、4級で問われてきた文法知識は、3級になっても勿論必要です。
英語は積み上げていく学問なので、基礎がゆらぐと応用はかなり難しいです。進行形や三人称単数現在形のS、助動詞や過去形、比較級、最上級などの文法事項に自信がなければ、復習することは必要です。
3級から新たに登場する受動態、現在完了、関係代名詞、付加疑問などは第一部の空所補充問題だけでなく、長文や面接でも出てきます。知識としては学ぶべきです。
知らないと解けない問題は、数こそ少ないもののほぼ毎年のように出題されるためです。
しかし、勿論文法を学ぶことは大切なことですが、4級レベルまでの文法事項がある程度以上定着していて、be動詞+過去分詞で受け身になる。haveと過去分詞は一緒に使う。
who, which, whoseは文の先頭だけでなく、真ん中にくることがある。その程度の理解でも教え子達は合格していきました。
やはり学校のテストと違い4択で、かつ似たような問題を反復して解き続けていると例え小学生でも、
“Have you ever been to Hawaii?” という文を、「ハワイに行ったことある?」と答えられるようになるのです。
例え中学生でも、英語が得意ではない学生にとって文法用語を交えて理解することは苦痛でしかないでしょう。そのため「現在完了形とは…」と学ばせるのではなく、
“Have you ever eaten natto?”
“Have you seen it?”
“Have you tried this before?”
など、事前に覚えた過去分詞はhaveと組み合わせて使うのかと、定着させると良いでしょう。
とにかく多くの英文に触れ、読み、和訳し、自分自身で作らせてみる。
この繰り返しが自然と子供達の文法理解を高めてくれます。
形式としては4級と同じです。ポスター問題、メール問題、ストーリーを読む問題の3種類です。
しかし、残念ながら多くの私の生徒達は間違った、非効率的なやり方で解いている場合が多々ありました。
問題文を先に読み、そこで出てきた英単語を本文中から探し出して線を引き、その付近にある文と選択肢の文が似ているかどうかで選ぶ、というものです。
彼らはほとんど本文を読まずに、まるで「ウォーリーを探せ」のようにただスキャニングしているだけなのです。
確かに、4級はその手法でほとんど満点が取れますが、3級以降は指示語を混ぜたり、あえて迂遠な表現を使っていたりと、やはり文全体をしっかり読まないと解けないように難易度が上がっています。
お子様にそのような癖があるのかを把握し、あるならばまずそれを止めさせることから始めましょう。
問題文を読んでから、本文を読むという順序はあっています。全体を完全に和訳するかのようにしっかりと読んでいく必要はありませんが、こういうことが書いてあるなと認識できる程度には読まなくてはいけません。
しかし、読むスピードが遅く、時間内に読めない生徒もいました。そういった生徒の多くは、
“To enter the contest, send us a DVD by July 7.” のような文に出会ったとき、頭から一度全て読み、頭の中で、「7月7日までに、私たちにDVDを送ってください、コンテストに参加するために」
と後ろから日本語へと変換していることに私は気がつきました。
別にこれが間違っているとは言いません。英語と日本語の、言語としての語順上、基本的に後ろから和訳すれば正しい日本語になります。
学校で教えられている先生方もそう子供達へ指導なさっていることでしょう。正しいのですが、お気づきでしょうか。これでは一文毎に往復して戻ってしまっていることに。
英検の長文問題は、精読問題でも和訳問題でもありません。内容をおおざっぱでも良いので把握し、質問に合う答えを4つの中から選ぶだけで良いのです。
つまり、
「コンテストに参加する、私たちに送れ、DVD、7月7日まで」
と、英文を読みながら順にぶつ切り和訳していっても、日本語ネイティブである我々は文の大筋を掴むことは可能ですよね。
日本語は英語と違い、語順がある程度ぐちゃぐちゃになっていても理解できる言語と言われています。その言語構造的な強みを活かし、頭から読むことをオススメします。
勿論、時間内に解き終わるのであれば一文を二度読んでも構わないでしょうが、英検3級で一番時間をかけるべきは作文であることは明白です。
長文を早く読む練習は、今後如何なる試験にも活きてくるため、少しずつ矯正していきましょう。
今まで述べてきたことをまとめると、
・過去問は必須
・文法は理論だけではなく例文と共に
・長文は頭からぶつ切り和訳を
の3点です。
また、第二部やその他細かいコツはご紹介しきれませんでしたが、とにかく多く問題をこなすことで見えてくるものはあるかと思います。諦めずにコツコツと頑張りましょう。
そして、リスニングや作文、さらには二次試験で待っている面接試験などには、後編で改めてお話させていただきたいと思います。
この記事が、少しでも多くの英語学習者や保護者の方々の役に立てば幸いです。
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