HOME » 小学中学年から高学年へ向けて英語学習の中身は変えるべき?
小学校3年生から英語学習が始まりますが、5年生からは教科と言う扱いになり、より本格的な学習内容へと移行します。
中学年から高学年になり、より本格的な英語学習が開始されるのに伴って、家庭学習の中身は変えていく必要があるのでしょうか。
また、変えた方が良い場合どう変えていくのが好ましいのでしょうか。
今回の記事ではこれらについて考えてみたいと思います。
以下のような方におすすめの記事です。
・低学年・中学年の保護者でこれから先の英語学習について考えている
・子どもが英語嫌いにならないか心配だ
・英語ギライになってしまう要因について知りたい
・高学年の英語学習で意識すべきポイントについて知りたい
小学校中学年すなわち3・4年生、そして5・6年生では英語教育にどのような違いがあるのでしょうか。
まず、一番大きな違いはその扱いです。中学年のうちは「外国語活動」という形で、あくまで英語に親しむ時間を持つというスタンスです。
これが、高学年になると英語が「外国語」という教科へと変わります。
他の科目同様成績が付くことになるということです。
これに伴って、コマ数も「週1コマ程度」から「週2コマ」へと増加します。
学習内容も、外国語活動がゲームその他のアクティビティーを通して英語に親しむ、いわば英語でのレクリエーションの色彩が強いものなのに対して、より学習の色彩が強いものへと変わっていきます。
では、中学年と高学年で家庭学習のアプローチは変えるべきなのでしょうか。
結論から言えば、変えなくてもいい部分と変えた方がいい部分があります。
もちろん、中学年の時点での英語の学習経験の長さやレベル、現在どのような形や頻度で英語に触れているかによるので一律に論じることはできません。
しかし、英語力のレベルがどのような子に対しても共通していえることはあります。
順に説明していきましょう。
まず、「英語に親しむ」、「英語を楽しむ」というスタンスは維持できるようにして頂きたいと思います。
中学年では、外国語活動ということでさまざまなアクティビティーを通して英語に親しむことに焦点が当てられていました。
このことは、高学年となって勉強という色彩が濃くなっていたとしても失ってほしくはない姿勢です。
趣味として気軽な気持ちで学んでいるときはどんどん新しいことを吸収していたのに、これが資格を取るために覚えなくてはならないとなったとたん、プレッシャーに感じ始めなかなか頭に入らなくなってしまったというような経験があるかと思います。
これは子どもの英語学習にも当てはまります。
たとえ成績が付く教科となったとしても、できるだけ楽しんで学ぶことができる学習方法で学び続けるのが理想です。
では、中学年の時とは変えた方がいいと思われる点はどのようなことでしょうか。
これは、学習メソッドやカリキュラムそして指導者の重要性に関してよりシビアに考えてほしいということです。
語学学習としてふさわしくない誤った方向性で学んでいくことで、子どもの負担ばかりが増え学習効果は上がらないという悪循環に陥る危険性があります。
特に、学校ではまだ語学学習として相応しいやり方なのかという所を熟慮せずに指導案が作られ授業が進められていく懸念もあります。
家庭学習で良い教材ないし指導機関を見つけて軌道修正を図りながら勉強していくようにするのが好ましいでしょう。
これは、小学校の英語教育が必修化される前からあった問題ですが、英語を始めて間もないうちに英語が嫌いになるあるいは英語の学習に苦手意識が芽生えてしまっているというケースが多く見られます。
そして、残念ながら小学生の英語学習が必修化されてもこの問題は減らないどころか増えていくのではないかと考えています。
2021年春に、子ども向けサイト「キッズ@nifty」を運営するニフティ株式会社で、小中学生を対象に「好きな教科・苦手な教科」に関するアンケート調査が実施されました。
これを見ると、苦手科目としての「英語・外国語活動」の順位は小学生では第4位だったのに対して中学校では第3位となっています。
小学校での英語教育は必修化されて日が浅いために正しく実態を反映しているとは言い切れない部分もありますが、英語教育がより早期から開始されたことで英語が好きあるいは英語が得意と考えている子どもが増えているかといえばどうやらそうではないと推察できるような結果ではあります。
これでは、早期から始めることで高い英語力を持った子どもたちを増やすという英語必修化の趣旨が没却されるばかりか、英語教育のスタートを早めたことが英語ギライになる年齢を低下させただけという結果を生みかねません。
ではなぜそのようなことが起きるのでしょうか。いくつかの原因が考えられます。
保護者がプレッシャーをかけすぎてしまう、あるいは期待しすぎてしまうというケースです。
これは英会話スクールに子どもを通わせている親の中にも多く見られます。
毎週英語のレッスンに通っているのにちっともしゃべれるようにならないと不満を抱く保護者が多く存在するのです。
特に親自身に英語の学習経験が少ないと、1年間習ってペラペラにならないのはおかしいのではと思ってしまうようです。
しかし、週当たりのコマ数、授業時間を考えれば、満足いく英語力には到達しないのが自然なことです。
当然子どもはそのような語学学習の特性は知らないことが一般的でしょうから、子ども自身が英語を学ぶことにそれほど関心がないにもかかわらず、親からこのように言われてしまうと、
「英語の授業をしていてもなかなか覚えられない」
「しゃべれるようにならない」
「英語は難しい」
「自分は英語が得意ではない」
と考えてしまうようになります。
そもそも英語の学習に対して関心が低い、興味がないということもあります。
いくら英語に親しむことを目標にゲーム等の遊びの要素を採り入れた授業が行なわれたとしても、その対象自体に興味がなければ積極的に参加したいとは思えないでしょうし、当然覚えることも頭には入りにくくなります。
英語に興味がないという理由にはさまざまなものが考えられますが、教師やALTとの相性の問題もあるかもしれません。
また、指導者自身に英語に対する苦手意識があり楽しんで教えていないことが子ども達に伝わってしまっているケースもあります。
また、英語ができるようになるとどんな楽しいことが起きるのかリアルなイメージを持つことができていないという場合も多くあります。
この場合も、英語への関心は低くなります。
週に1回ないし2回のレッスンで英語がペラペラになるのは難しいことです。
語学学習の経験が既にあって、ある言語をマスターしている人のような場合、それ以降の語学学習は短期間の勉強で済むこともあります。
しかし、初めて外国語を学ぶ子どもにとってそのように週に数時間程度の学習で一定のレベルに到達するのはまれでしょう。
例えば学校であるフレーズを教わったとしても、その授業が終わればそのままになってしまう、言い換えれば、復習と反復練習の時間が十分に確保されていないことも英語ギライを生む要因です。
まず、復習をしなければ単なる知識のレベルとしてさえ記憶に残すことは難しいでしょう。
それに加えて、英語は言語ですから、自分のものとして口をついて言えるようになるにはまたさらにアウトプットをする必要があります。
こうした時間・場が用意されないままどんどん知識をインプットさせようとしても消化不良を起こしてしまうのがオチなのです。
以上のようなことが、英語を学んでいても子どもが英語ギライになってしまう典型的な要因として考えられることです。
こうしたことが分かると、どういったアプローチをすれば英語ギライにならずに英語が好きな子になるかというのも見えてくるのではないでしょうか。
これまでお話ししてきたことを踏まえて、高学年からの英語学習で意識すべき具体的なポイントを整理してみましょう。
高学年以降の英語学習としては、以下のような条件を満たす環境が理想的です。
・英語学習のモチベーションが続くような工夫をする
・英語学習に誤った観念を植え付けないようにする
・日常的に英語を使える環境を作る
・体系だったカリキュラムで学ぶ
・学習した内容を実践的にアウトプットできる場を設ける
今回は、小学校中学年と高学年の英語学習を変えるのかということについて考えてみました。
家庭学習は重要ですが、その方法や目的を誤ると、かえって英語に苦手意識を持った子になってしまう恐れがあります。
こうしたことを避けるために、信頼できる教材や指導機関の力を借りながら、高学年になる前から少しずつ理想的な英語学習の環境を整え、語学学習として適切な学習を習慣づけておくことが大切といえるでしょう。
こちらの記事も役に立つはずですので、ぜひあわせて読んでみてくださいね。
英検準1級
TOEIC920
中高教諭一種免許
小中学生向けに英語スクールを経営。その英語スクール内でオンライン英会話の制度も導入してあり、海外の先生と直接話をしながら生徒たちのために授業内容の調整などを行っております。
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